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口腔衛生に取り組める食品を介護現場へ

インタビュー写真

 シタクリアシリーズ & ジェル開発
 産学連携開発の独自成分DOMAC配合
 UHA味覚糖株式会社

 技術開発セクションリーダー
  執行役員 松川泰治氏

私自身、口腔ケアのしづらい状態が続くと、年齢に関係なく、口腔環境が悪化してしまうことを、現場でまざまざと知ることができました。
 その時はシタクリアのキャンディーを提供させていただきましたが、少しでも子供のために何かをしてあげたいという親御様の想いにも気づかされました。
 また、松江にある施設のお取り組みでは、シタクリアのキャンディーを砕いて、破片の誤嚥がないようにガーゼに包み、お湯に浸して溶かし、舌上に塗布されていました。

松川 介護現場では日夜口腔ケアに励まれています。学会や介護施設でシタクリアを紹介してきたのですが「キャンディーを使いたいけれど、誤嚥の可能性がある。そこを、なんとかしてくれないか」といったお声が多かったのです。

――介護現場で使えるような剤形が求められていたわけですね。

松川 介護向けの口腔ケアとして棒付きのキャンディーという要望もありました。しかし、棒ですと噛んで割れてしまう危惧があるのです。
 別の用途で棒付きの口腔訓練アメといったものもありますが、使われる方々の様々な状況を考えると、キャンディーの割れやノドでの詰まりといった可能性も否定できず、メーカーとして安全性を担保することがとても難しかったのです。
 メーカーの扱いにくい部分と言いますか、社会的な実勢としても、些細なリスクでも取り除いておかないといけません。また、日本には棒付きキャンディーを製造する企業があまりなく、製造ラインそのものが少ないという状況もあります。 インタビュー写真
 ポイントは介護現場で安心して使える剤形です。
 適していたのが「ジェル」でした。
 帝京大学との共同研究で「ジェル形態で活性を維持させる」ことをテーマに、より向上した商品の開発を目指しました。
 虫歯になりにくい成分をベースに据えたり、あるいは粘度に着目したり、とろみ度合いを調整したり。試行錯誤を重ねて2018年に処方が完成しました。もちろんジェルであっても使用には誤嚥に対する細心の注意が必要ですが、それでも使用の機会は広がるものと考えております。
 ジェルに関する共同研究には加藤が携わっています。

加藤 私の入社時はキャンディーが展開され始めた頃だったのですが、その当時のテーマがシタクリアのジェル開発でした。ところが、ジェルの開発過程で新たに加えた成分が思った以上に取り扱いが難しく、商品化に時間を要していた間にタブレットのテーマが立ち上がりあっという間に完成してしまいました。
 しかも、タブレットが美味しく仕上がり、ジェル作りのハードルはますます上がって(笑)、悩んでいた時期もありました。

 後押ししてくださったのは、介護と向き合っているお客様からのお声です。

 口腔カンジダ菌の患者で寝たきりの生活をされている未成年の方がおり、その方のお母様が口腔ケアに熱心に励まれていました。その方に、ジェル開発の当初から、私が手作りした開発中の試作ジェルを3ヶ月に1度ご提供していました。
 完成品ではなかったので多少沈殿などもあったのですが、「これでないとダメなんです」というお声をいただいていたのです。
 口腔ケアが出来ない方は口の中を水でゆすいだりするのですが、その方は水にジェルを溶かして口腔内をゆすぐという、使い方をご自身でアレンジされていました。
 周囲の寝たきりのお子様を抱える親御様からも「どこに売っているの?」と聞かれることが多かったそうで、商品化を強く要望されていたのです。
 そうした現場からのお声で、シタクリアジェルは完成に至ることができました。

――ジェルという剤形の特性をどのようにお考えでしょう。

松川 嚥下機能の低下した方や要介護の方でも食べやすい、とろみをつけた飲料やケーキなどを提供するレストランがあります。そうしたお店の店長ともシタクリアのジェルについて話し合いをしました。
 世の中には口腔湿潤ジェルという、スポンジに塗って口腔内を滑らかにする製品もありますが、あくまでも「口腔化粧品」で、飲み込むことはできません。
 しかし、食品であれば、そうした食事にも活用できます。シタクリアは「食品のジェル」であることが大きな特長なのです。

岡本 介護現場における作業時間の短縮や労力の軽減にもつながるものと考えています。
 現場では、口腔ケアの際に口の中をお湯でふやかし、ブラシで洗い落とし、そのあともう一度ふやかして――、と大変な作業を要しています。
 一人当たりの作業時間が長く、ブラシなどをごしごし使うため、双方にとって大変な時間を、日々繰り返さなければなりません。
 そうした労力を、シタクリアに置き換えることが出来たら――、時間は短縮され、苦痛なく過ごすことができるようになります。サポートする側、される側、双方にとって有意義な選択肢になりうるわけです。

 また、これは施設だけの話にとどまりません。世間的にも自宅介護の問題が取り沙汰されていますが、そうした労働と介護を両立しなければならない立場の方々にとっても、負担の軽減につながればと考えています。

松川 シタクリアの研究では口臭改善の傾向も出ていますので、そうした方面での悩みにも有意義になるかと思います。


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