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健康情報の拠点へ 変わる薬局スタイル

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 QOLサポートクオール薬局
 簡易測定機器とICT導入で健康支援を拡充
 クオール株式会社

 健康サポート薬局推進室 室長
  中村貴之氏

厚生労働省は在宅医療や介護への需要が今後さらに増えていくことを踏まえ、重度の要介護となっても人生の最後まで住み慣れた地域で暮らせるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援など包括的なケアシステムの構築を目指している。そうした中で、国は日本再興戦略で「健康相談や健康情報の提供を行うなど、セルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師を活用する」ことを決定。新たな薬局の在り方が模索される黎明期、クオール(港区虎ノ門)は健康サポート薬局に積極的に取り組み、八王子にモデル店舗を開店。健康サポート薬局推進室長の中村貴之氏に、薬局の未来ビジョンについて聞いた。

―新たな薬局スタイルが誕生しましたね。QOLサポート薬局、京王八王子店の開店経緯とは。

中村 昨年9月に厚労省で健康サポート薬局の要件がまとまり、10月には患者のための薬局ビジョンが発表されました。といっても、業界の関係者からは「具体的に何をしてよいかわからない」といった声が出ていたのが正直なところです。 インタビュー写真
 形がまだ見えていない中ですから、当社内でも「『健康サポート薬局』として取り組めることを研究する場所を設けてみてはどうか」といった意見が出ていたのです。そこで、健康サポート薬局という新しい薬局の在り方を模索する拠点として1店舗を設けて、その中でクオールが考える、または国が考える健康サポート機能というのを検討してみようということになったのです。

―八王子という環境を選ばれたのには、理由があるのでしょうか。

中村 もともと京王八王子店がドラッグ併設型の調剤薬局だったということもあり、100坪ほどの広い店舗面積を有していたので、さまざまな取り組みを導入するためにそこを改装してやってみようということになったわけです。当然ながら、今まで置いてあったOTCや衛生材料などは売り場を縮小することになりましたが、その空いたスペースを活用して、健康サポート薬局としての機能を備えさせています。
 10人ほどを収容できるセミナールームや、いわゆる調剤薬局として服薬指導を行うブースカウンターなどがあります。また健康相談、栄養相談、OTCの相談にも乗れるカウンセリングブースも設置しました。

―健康サポート薬局モデル店の特徴とは。

中村 地域に住まう、あるいは勤めている方々の健康補助に、薬局として何ができるのか――。そういったことを考えた際に、まず取り組むことができるのが、身体の健康指標となる『簡易機器測定』でした。血圧計は従来どこにでもあるものですが、体組成計や歩数やカロリー管理のできる活動量計など、ベーシックなものをラインアップしたうえで、これまであまり薬局では取り扱いのなかった骨密度計や簡易血液測定なども取り揃えています。 インタビュー写真
 利用者が自己採血することによって、健康を管理していくのに重要な血糖値や脂質などを測定できるようになっています。さらに、この自己採血をした検体について、その場で検査結果が分かる機器が店舗内に2台導入されています。およそ10分程度で結果を見ることができるのです。
 今までですと検体を検査機関に送ってから結果を知るまでには2週間ほどの待ち時間を要していましたが、これが店舗で完結することによって利便性はかなり向上しました。あと、口腔内細菌をカウントするような機器も置いています。
 さまざまな測定機器が続々と登場してきていますので、そういうものを取捨選択しながら、実際に店舗で試験運用し、現場の声、利用者の声というものを収集して今後に生かせていければと思っています。
 そうしたことができる環境を、新店舗として開設したということになりますね。
 ポイントとしては、簡易測定機器の導入、セミナールームの開設、カウンセリングカウンターの設置、この3点が挙げられます。

―地域連携への取り組みは。

中村 八王子という環境を選定した理由として、ハード面で機器を導入できる、またセミナールームを設置できるといった相応の面積があるからというのは述べたとおりですが、ソフト面についても八王子は好立地でした。
 東京都内の中でも八王子は社会保障に関し、市民の満足度が比較的高いエリアなのです。地域包括ケアというのは国から各自治体に移行しているところですが、そこで重要になるのが地域の方々への情報提供です。
 八王子市が積極的に進めているのが、疾患でいうと「がん」の分野です。これはかなり分厚い資料として一般市民の方にも公開されていまして、ホームページ等でも閲覧することができます。そのほか、認知症などの問題にも対応しておりますが、特にがんに対する取り組みは進んでいると感じました。
 地域連携という部分は、健康サポート薬局の要件にも盛り込まれていますので、我々も地域の医療機関や行政機関へと伺っています。地域包括センターへ訪問した際には、介護や在宅への取り組みなどについて関心を持っていただけました。
 介護分野は、月間に数件ほど処方元から依頼があったりはしていたのですが、これまであまり関わりがなかった店舗もありました。そうした中で、実際に地域包括センターに足を運び、薬局として新たに地域連携機能を備えていく方針を伝えるのは、正直なところ「今更何を言っているのだ」と言われる心配もありました。ですがまったくそういうことはなく、「ぜひ協力してください」と歓迎してくださっています。
 また、全国的な話として少子高齢化が進んでいる傾向にあるのですが、八王子市の北部には工場などの進出もあって、お子様がいる比較的年齢の若いご家族が住まわれているところもあります。そうした地域には、お子様を授かってまだ間もないお母さま方も多くいらっしゃいます。
 市内の行政機関を回っていくと、八王子市全体としても少子化対策として色々な子育て支援をやっていることが見えてきました。高齢化を受けての介護への取り組み、それから少子化に対しての子育て支援など。自治体行政も熱心に取り組まれている環境が、八王子にはあったわけです。

―機器以外の人を介するサービスはどうでしょう。

中村 ハード面だけでなく、薬剤師あるいは管理栄養士も常駐しておりますので、栄養相談、健康相談ができるような、ソフト面の充実も同時に図っていきたいと考えています。 インタビュー写真
 今までですと調剤をやる傍らで何かをやるというのが通常の薬局の運営だと思うのですが、今回の健康サポート機能というところからすると、処方箋を持たない薬局利用者に対しても即座に対応できる環境が必要となりますので、それを踏まえての人員配置もしています。
 具体的には、職員がいわゆる営業活動を行っています。
 薬局はあまり外に出て一般市民の方にお声がけするということは少ないのですが、そういったことにも、より地域に浸透すべく積極的になりました。
 他のスタッフたちも持ち場が違うから何もやらないということはなく、通常お見えになった患者様にも「新たにこういうことができるようになったのですよ」ということを伝えるなどしています。店舗全体で皆が協力的に参画してくれています。


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