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健康寿命の延伸視野に制度設計を

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 「食品表示法は表示の法律」
 医療費の削減から国に多くのメリットを
 日本チェーンドラッグストア協会

 事務総長
  宗像守氏

機能性表示食品の関与成分に関する検討会が半ばを過ぎ佳境に入っている。議論内容は栄養成分と関与成分が明確でないものの取り扱いについて。学術的に表示の拡大化を反対する意見もある中で、業界側として積極的に制度の意義やメリットを説き、前向きな意見を出している日本チェーンドラッグストア協会事務総長の宗像守委員に制度への想いを聞いた。

―ここまでの機能性表示食品を振り返って。

宗像 制度の議論にはいくつか変遷があります。機能性表示食品を形作るための最初の検討会では、当初メーカーと通販の団体から2名の検討会委員が選出されていました。検討が進み、制度が形作られてきたところで、私のところへ健康食品業界の方から「機能性表示食品が、体の部位については言えないことになっている」と相談が寄せられたのです。 インタビュー写真
 まさに骨抜きのような状態でした。体の部位について言えないのであれば、いったい何が伝えられるというのかと。少なくとも、どこに良いのかということぐらいは言えないといけません。
 そこで当時の厚労省の局長に直訴したのです。新制度には、食の機能を活用して健康寿命の延伸に波及させるという重要な意義が込められています。日本が世界に誇る制度にし、産業を大きくしていく。こういう目的のもとに作られた検討会であるはずなのに、方向性がどこかおかしいと。
 その旨を伝えて撤回を要望したところ、部位の制限はなくなることになったのです。
 しかし今度は、ビタミン・ミネラルについても制度の範囲外ということになっていました。アメリカのダイエタリーサプリメントではビタミン・ミネラルは中心となっているのに、です。
 メーカーさんからも、機能性表示食品制度が機能しない理由として11項目ほど提示がありました。一つ一つ話を聞いてみると確かに納得のいくものでしたが、なぜ骨抜きにしてしまうのかと強い疑問を抱くこととなったのです。
 私は農林水産省のスマイルケア食の検討委員もしておりましたので、老人の方にスマイルケア食を利用してもらうとどういう反応があるか検証するためアメリカに赴いていました。現地に着いて翌日の昼のことです。至急、日本で安部総理と面会してほしいとの連絡があり、その夜の便で日本に戻ったのです。
 そこで総理に、制度が骨抜きになっているという現状を伝えました。今は健康を創造していく時代です。日本人の健康と、産業を両立していくという、まさに戦略的な、もっとも可能性のある分野に手をつけたにも関わらず、やっていることはほとんど骨抜き。国の予算を貪っている既存の保険制度に当たり障りのないようなものでは意味がありません。
 閣議決定された内容というのは必ずやらなければいけないものですが、それを当たり障りのないように設計する2つの手段があります。やっても効果がないようにするか、事業者が実行しにくくすることです。
 実際に制度は設計され、さまざまな先生方から意見を聞きながら表示できるようにはなりましたが、あとはやれるものならやってみなさい、というような状況だったのです。事業者の方からすると、中々手をつけられません。
 制度には、数兆円のマーケットを育成できる、また場合によっては海外へも進出し、引いては10兆円規模の経済効果も期待されています。それを押し止めるような設計はいかがなものか。
 そうしたことを、安部総理に直訴したわけです。食品の表示に対して危険であるというネガティブな思想が持たれがちですが、もともと一般流通で「食べているもの」に対して、なぜ危険などという発想を過度に持つのか。
 そもそも表示以前に、食の安全というのは確認されているのです。厚生労働省の安全基準をクリアし、尚且つ内閣府にある食品安全委員会もクリアしている。認められていないものについては、使うこと自体が違反です。
 安全基準をクリアして適合するもの、普段から食べているものについて、どうして危険なものと受けとめられているのでしょう。
 安部総理は、確かにおかしいですね、と納得してくれて、すぐに対応に動いて頂きました。
 私は当時の機能性表示食品の検討会委員には加わっていませんでしたが、アメリカではマーケットを普及し、育ててきたのはリアル店舗でした。90年代以降、アメリカはすでにネット社会であったにも関わらず、リアル店舗が一人一人の状態を観ながら健康を創ってきたのです。もちろん、リアル店舗で根付いてきたものが段々とネットでも動き出してくるという流れはあります。
 日本でもそれを期待していたのですが、リアル店舗側である我々の意見というのは何も反映されていない状況でした。
 その後の消費者庁はおよそ一ヶ月間ずいぶんと調整にあたってくれて、満足とまではいきませんでしたが、可能な範囲でより使えるような制度設計の話も進んでいったのです。

―関与成分の取り扱いの議論については。

宗像 今回のビタミン・ミネラルの検討へと移ってきたという流れのなかで、今度は検討会の委員として入ってくださいということで私も参加をしています。
 前半については一般消費者、学術的な知見に立つ委員の方から、表示制度の拡大に対する不信が強かった感はあります。重箱の隅をつつくような指摘もありますが、業界も真摯に答えているところです。感情的にこれはいけないという意見が一つあると、どうしてもそれに相乗りする方がいるという向きもあるのですが、我々としては真に国民の側に立った制度設計をしたいという想いがあります。
 今回の制度は、消費者の知る権利を前提としながら、食品の情報をより適切な形で知らせていくことで、消費者にプラスにしていくという軸があります。
 尚且つ、食品表示法の話なのです。例えば、そこに重金属やバイアグラなどが混入しているといったことであれば、これは別の法律で禁じられていますから、そちらで排除すべきなのです。
 安全性を確保するというのはもちろん大切ですが、成分の細かい部分に入りすぎていくのは法律の趣旨ではありません。むやみにありもしないような危険やリスクを針小棒大のようにして、大半のメリットを壊してしまうという方向性は残念に思います。


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